山梨・市川大門の手漉き和紙金封・花火

手漉き和紙金封「花火」と
市川大門の 花火

花火風景

市川大門の花火の歴史

花火の町として知られている市川大門。
戦国時代、この地域は武田氏の狼煙(のろし)の生産地でした。和紙づくりも盛んだった市川大門には、紙の神様を祀る神社があり、神社の祭礼日には、狼煙の技術を用いて花火が打ち上げられるようになりました。
はじめのうちは、葦の管に火薬を詰めたものから火が吹き出す程度のものでしたが、天明6年に近藤次郎兵衛という人物が径二寸ほどの竹に縄を巻きつけて筒をつくり、初めて打ち上げ花火にしたといわれています。
この打ち上げ花火は「神明の花火」と呼ばれ、町民の技術として発展して行きました。江戸時代には観賞用の花火づくりが盛んんなり、「神明の花火」は花火大会として県民に広く親しまれるようになりました。その後、一時は途絶えてしまった「神明の花火」でしたが、平成元年に復活し、今では山梨県下で最大規模の花火大会となっています。

地域が誇る花火メーカー

市川大門の花火産業を支えている花火メーカーのひとつに、株式会社マルゴーがあります。
マルゴーは、昭和29年に「齊木郷作煙火店」として創業。製造する花火は、玩具花火、打ち上げ花火、特殊効果花火など多岐にわたり、それぞれの分野で独自の提案をしています。多くの花火競技大会で受賞されているほか、引田天功さんの花火演出の専属としても活躍されています。

株式会社マルゴー

特に打ち上げ花火は、絶妙なテンポの場面展開やそのあざやかさから「劇場型花火」と言われ、その豊かな創造性で、たくさんのファンを魅了しています。
「神明の花火」では、マルアイの花火も打ち上げてくださっており、そのご縁もあって、手漉き和紙金封「花火」の企画にご協力いただくことになりました。
全国、そして世界へ、打ち上げ花火のようにその名を轟かせている、地域が誇る花火メーカーです。

花火づくり風景1

打ち上げ花火の貴重な生産現場を見学させていただきました。
調合した火薬(通称「星」)を玉の半分に並べていき、中央に和紙に包んだ割り薬(星を飛ばすための火薬)を詰めます。

花火づくり風景2

完成した半分の玉ふたつを一気に合わせ、その外側に、クラフト紙を何重にも規則正しく貼っていきます。

花花火づくり乾燥室風景

できあがった玉が並ぶ乾燥室。この大きな玉が夜空に打ち上がります。

工場からの風景

山の中腹にある工場からは、美しい自然が見下ろせます。

伝統かがやく線香花火

手漉き和紙金封「花火」の熨斗は、線香花火を模しています。
線香花火の光の移ろいには、人生が反映されて見えると言われています。美しく輝く花火は、婚礼という二人の門出を華やかに祝福するのにふさわしいモチーフです。
この熨斗は、貴重な技術を持つマルゴーの職人さんに、線香花火と同じ製法でひとつひとつ丁寧に撚っていただいています。

手漉き和紙金封「花火」手作業の熨斗

薄い和紙を独特な細長い形に切り、専用に色味を調合した染料で先端を染めます。

熨斗づくり風景1

火薬の代わりに和紙を入れて先端に膨らみを持たせ、長さを測りながら撚ります。
繊細な職人の技術により、本物の線香花火のように凛としたまっすぐな熨斗がつくられます。

熨斗づくり風景2熨斗づくり風景3

後世へ伝えていきたい想い

この町では、町の文化を伝える新しい取り組みをしています。
マルゴーを含めた町内の花火メーカーで発足した「市川線香花火プロジェクト」。その中で誕生した線香花火ブランド「市川神明牡丹」は、花火の町らしさを持つ美しい線香花火です。

市川線香花火プロジェクト

今回ご協力くださったマルゴーさんの齊木社長。
「町民技で花火の文化を育ててきた市川の風土、祭り好きな好奇心旺盛な町民気質。これから世界に羽ばたく子どもたちに、花火を通して地元を誇りに思い、愛する心が育つ機会になれば。」と、町の花火文化について熱く語ってくださいました。

株式会社マルゴー 齊木社長

地域の誇りをきらびやかに照らす市川の花火。
手漉き和紙金封「花火」は、進化しながら伝統を継承していく職人の手仕事にのせて、二人の門出を祝う気持ちを伝えます。

金封「花火」のこと

人生を表す線香花火

人の一生をあらわすといわれる、線香花火の移ろい

手漉きの味わい

丁寧に漉き上げられた、手漉き和紙の味わい

線香花火を模した熨斗

線香花火を模し、一本一本、手作業で撚った熨斗

四方に広がる花火を模した水引

花火のきらめきをあらわす、華やかな水引