山梨・市川大門の手漉き和紙金封・花火

手漉き和紙金封「花火」と
市川大門の 和紙

和紙づくり工房の風景

市川大門の和紙の歴史

市川大門の和紙づくりの歴史は千年を超えるといわれており、その起源は平安時代にさかのぼります。
この地域でつくられた「市川和紙」は、美人の素肌のように美しいことから『肌吉紙(はだよしがみ)』と呼ばれ、重宝されてきました。戦国時代の武田氏や江戸時代の徳川氏の御用紙として献上されていたといわれています。
昭和の中頃からは機械抄きの技術も加わり、工芸品から日用品まで広く使用されるようになりました。現在では全国でも有数の障子紙の生産地となっています。

手漉き和紙の風合い障子紙商品パッケージ

一軒でまもる伝統

マルアイの本社から歩いて10分ほどのところにある豊川製紙は、江戸末期から続く手漉き和紙工房です。
紙漉きの機械化が進み、かつてはこの地に200軒ほどあった手漉き和紙の工房も今ではこの一軒のみとなりました。
6代目の豊川秀雄さんは、日用紙製品の製作に限らず、県の表彰状や卒業証書などの製作・手漉き体験の実施など、地域文化に貢献されており、長年の功績から山梨県の名工や町の無形文化財に認定されています。
手漉き和紙金封「花火」の和紙は、この豊川製紙で漉いています。

手漉き和紙工房の外観手漉き和紙工房 豊川秀雄さんの作業風景

豊川製紙とマルアイ

実はマルアイは20年ほど前にも一度、豊川さんと一緒にものづくりをさせていただいています。
1999年にマルアイが発表した「桐壺和紙工房・手漉きかたりべ」。その中の上質な手漉き葉書は、一枚一枚豊川さんが漉いたもの。
当時東京で出展した展示会では豊川さんの実演コーナーを設け、市川大門の手漉き和紙のすばらしさを来場者に伝えました。

「桐壺和紙工房・手漉きかたりべ」の商品写真展示会の実演コーナーで和紙を漉く豊川さん

「花火」の手漉き和紙

手漉き和紙金封「花火」の和紙の原料は楮(こうぞ)。楮和紙は、破れにくい強靭さがありながら、軽やかでやわらかい質感を 持ちます。

楮を煮て必要な繊維を取り出したあと、より強度を出すためにビーターという機械で繊維をほぐします。

和紙の原料である楮煮た後に機械でほぐした楮

漉きぶねの中にほぐした繊維と“ねり”(繊維を分散させる液)を入れ、簀桁を用いて漉きあげます。
長年の経験から体に染み付いた、独特のリズムと呼吸。静かな空間にちゃぷちゃぷと揺れる水の音が響きます。

湧きぶねの中に材料を入れ和紙を漉きあげる豊川さん

漉きあがった和紙を重ねて脱水機で圧力をかけ、ゆっくりと水分を絞ります。
脱水した和紙は一枚一枚丁寧にはがし、乾燥機にローラーや刷毛で押し当てて乾燥させます。

漉きあがった和紙を重ね脱水機で圧力をかける脱水した和紙を乾燥機で乾燥させる

四方にふわふわとした“耳”がついているのが、手漉きの和紙の特徴。一枚一枚違った表情を見せてくれます。
手漉き和紙金封 「花火」では、手漉きの味わいをより感じられるよう、耳をおもてに出したデザインにしています。

手漉き和紙は四方にふわふわとした耳がついている手漉き和紙金封「花火」は耳をおもてにしたデサイン

アイデアで継承する 地域の伝統

今回お話をうかがった際、撮影クルーも含めた私たちひとりひとりに、製品と同じ原料で漉きの体験をさせてくださいました。
皆見よう見まねで挑戦するものの、職人技には到底及ぶわけもなく、ぐちゃぐちゃな仕上がり。「そりゃ、そんなにすぐに上手にできちゃったら俺が困るよ〜」と笑いながら楽しく教えてくださる、気さくなお人柄も豊川さんの魅力です。

手漉き和紙の漉きを体験させていただきました和紙漉きを楽しく教えてくださる豊川さん

伝統的な和紙以外にも、山梨らしく葡萄の香りがする名刺や、毛糸を漉き込んだあたたかい雰囲気の封筒など、豊川さんは様々なアイデアを凝らした和紙製品をつくっていらっしゃいます。撮影時には、柚子の皮を漉き込んだ、爽やかに香る葉書づくりも体験させていただきました。

豊川さんが様々なアイデアを凝らして作った和紙製品気さくなお人柄の豊川さん

私たちも広めていきたい市川大門の和紙。
手漉き和紙金封「花火」は、お祝いの気持ちとともに、伝統をあたたかく継承していく職人の手仕事を伝えます。

金封「花火」のこと

人生を表す線香花火

人の一生をあらわすといわれる、線香花火の移ろい

手漉きの味わい

丁寧に漉き上げられた、手漉き和紙の味わい

線香花火を模した熨斗

線香花火を模し、一本一本、手作業で撚った熨斗

四方に広がる花火を模した水引

花火のきらめきをあらわす、華やかな水引