2024.10.21
『CNT透明導電ナノシート』を開発しました。
【業界初】転写可能な透明導電フィルムを新開発、カーボンナノチューブを活用
ガラスや木材などあらゆる素材や曲面に導電性を容易に付与し高い透明性や耐久性も実現
11月28日〜12月2日・幕張メッセ「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)」に参考出品
「こころ くらし 包む」をモットーに、さまざまな製品を通じて毎⽇のくらしに彩りと楽しさを提供する紙製品・化成品メーカーの株式会社マルアイ(本社:⼭梨県市川三郷町、代表取締役社⻑:村松道哉、以下「当社」)は、この度、高い透明性と導電性に加え、あらゆる曲面にも貼るだけで導電性を付与できる転写機能を兼ね備えた『カーボンナノチューブ(以下、CNT)透明導電ナノシート』を開発しました。転写機能をもつ透明導電フィルムの開発は業界初(※1)となります。
今回開発した『CNT透明導電ナノシート』は、2023年11月28日から12月2日(土)まで幕張メッセで開催される「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)」において、楠本化成株式会社の展示ブース(ブース番号:51416)に参考出品します。
■開発品『CNT透明導電ナノシート』の特徴
『CNT透明導電ナノシート』は、高い透明性と導電性および経時劣化が小さいことに加え、対象物に貼ることで導電性を付与できる、転写機能を兼ね備えた透明導電フィルムです。従来品は平面や緩やかな曲面にしか設置することができませんでしたが、転写機能によりあらゆる曲面にも容易に貼ることができ、複雑な形状をした対象物にもフレキシブルに対応できるようになりました。転写可能な素材の一例としては、ガラス、プラスチック、木材、ゴムなどが挙げられます(※2)。
『CNT透明導電ナノシート』の構造は、基材とCNT導電フィルム(CNT膜)(厚み1μm以下)の間に、水溶性膜を挟むことで形成されており、これを水に浸漬することで基材からCNT導電フィルムが剥離します。そして機能を付与したい対象物に剥離したCNT導電フィルムを転写することで導電性を付与することができます。また、表面抵抗率はCNT導電フィルムの膜厚を変えることで10²~10⁸Ω/sq(※3)までの調整が可能です。
なお、『CNT透明導電ナノシート』は、東京工業大学との産学連携により開発されました。
※1:2023年11月現在、当社調べ。
※2:対象物の表面状態によっては転写できない場合があります。
※3:あくまでも目安です。
■開発の背景
当社は、独自に開発した導電・帯電防止インキを使用し、オリジナルの導電フィルムを製造・販売しています。導電フィルムの表面抵抗値を自由にコントロールできる点が特徴で、顧客の要望や用途に合わせた製品開発や提供も行っています。
透明導電フィルムは、電気を通す機能に加え可視光を通す機能を持つ薄膜材です。透明性が高いため視認性に優れており、ディスプレイやタッチパネルなどに広く使用されています。透明導電フィルム市場は世界的に拡大しており、新製品の研究開発も活発に行われています。
当社では、2018年1月にシングルウォールカーボンナノチューブを用いた高透明導電シート「SCS・TC(Super Clean Sheet・Transparent Clear)」を開発しました。可視光透過率は84.46%とA-PET(非晶性ポリエチレンテレフタレート)並みの高い透明性を持ち、経時劣化が小さいことが特徴です。主に電化製品や自動車に使われる電子部品を静電気から保護するための導電トレイとして活用されています。2020年2月には特許を取得しました(特許番号:6656450)。
当社は、主力製品である「SCS・TC」の汎用性を高めるために研究を進め、この度「SCS・TC」の特性に加え、あらゆる対象物や曲面にも導電性を付与できる転写機能を兼ね備えた業界初の透明導電フィルム『CNT透明導電ナノシート』を開発しました。
■今後の展望
今後は開発品『CNT透明導電ナノシート』の特徴を活かした用途展開を進めていきます。また、カーボンナノチューブ(CNT)を用いた導電技術および印刷技術を高め、より高機能な製品の開発を目指していきます。
■展示会出展情報
2023年11月28日(火)から12月2日(土)まで、幕張メッセで開催される「IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)」において、楠本化成株式会社の展示ブース(ブース番号:51416)にて、今回開発した「CNT透明導電ナノシート」および既製品の「SCS・TC」を参考出品します。
展示会名:IPF Japan 2023(国際プラスチックフェア)
会期:2023年11月28日(火)~12月2日(土)
会場:幕張メッセ 1~8ホール
ブース番号:51416 楠本化成株式会社